獣医師KONTANIの手作り食一問一答
みなさま、すっかりすっかり遅くなってしまいましたが、
新年明けましておめでとうございます。
気がついてみたら、3ヶ月も更新しないまま、2012年を迎えてしまっていました。
ブログひとつとってもこれだけ至らないKONTANIですが、
本年度もどうぞお見捨てなきよう、よろしくお願いいたします。
さて、今年の冬、KONTANIは「自然を感じるエコ生活」を心がけています。
具体的に言うと、暖房をなるべく使わない、冬の寒さを体感しつつ過ごす生活です。
(といっても自宅のみでの実施ですが)
どうしてこのような生活を行っているかと言いますと、
一番の理由は、節電を突き詰めていった結果、そうなった、というシンプルな理由です。
ただ、それ以外にもひとつ理由がありまして…
最近、犬や猫で「季節変化を感じていない子が増えたな」と思っていた、
ということがもうひとつの理由です。
「季節変化を感じていない」というのがどういうことかといいますと…
たとえば柴という犬は、もともと防寒のための下毛を豊富に持っている犬種です。
寒さを感じ始めると、体が反応して下毛をもさもさと生やし、防寒体制を整えます。
それが、寒くて雪の降る日本の冬を越すための柴犬の進化の形でもあるわけです。
それなのに、最近の柴犬の中には、
真冬に突入しているという状況なのに、冬毛があまり生えてこない子がいます。
暖房が充実している現在の状況で、「下毛は必要ない」と体が判断してしまい、
冬毛が生えない(でよい)状態になってしまっているのですね。
「冬になると、毎日こたつにもぐっちゃうんです」という、なんとも幸せな環境にいる子の場合、
外の気温は低くなっているのにも関わらず、毛量が増え始めていた秋の状態から一転、
夏毛に戻ってしまうという場合もあります。
そうすると、結局自分の力で保温をする力が弱くなるため、
結果として冷えやすい身体を作ることになってしまうのでは?と常々感じていました。
そして、それほど季節感のない生活を過ごしてしまっている、というのは、
犬だけではなく人間にもいえることなはずだと考え、身体を甘やかす環境を改めてみよう、
と思ったのがエコ生活を始めた第二の理由です。
犬は脳震盪を持っている
「身体に影響を及ぼすものを排除するだけではなく、
そもそも影響を受けにくい身体を作ればいいのだ」
という、そもそも食事をお伝えするときのスタンスを環境にも当てはめてみた、という事です。
さて、今までの便利な生活に埋もれてしまっていましたKONTANIですが、
エコ生活のおかげで「体を温めること」をずいぶん意識/努力するようになりました。
こまめに体を動かすこと、
お散歩をただ歩くではなく、早足やジョギングで行うこと、
体が温まる料理や飲み物を積極的にとること、
お風呂にしっかりつかって体の隅々まで温めること、
箇条書きにすると「なんだ、私が常々皆さんにお伝えしていることじゃないか(汗)」
と思うのですが、その当たり前のことがあまり出来ていなかったことに気がつきました。
(暖房で気温が高い部屋では冷たい飲み物を飲みたくなったり、
体が冷えたと感じないと、お風呂じゃなくてシャワーでいいやと思っていたり)
こんな私との寒々生活に付き合わなくてはいけない花ちゃんと太郎くんですが、
彼らは全身の毛をふくらませて完全な【防寒体制】になっています。
寒いんだろうな~とは思いますが、去年に比べてかなり活発に動いているので、
私と同じで「寒ければ動けばいいんだ!」という発想が生まれたのかもしれません(笑)
そして、ゆっくり暖をとりたい時には、二匹ともぴったりと私にくっついてきてくれます。
これまた寒さの中のささやかな幸せだったりします♪
皆様も、「自然(と猫)を感じるエコ生活」、いかがですか??
さてさて、すっかり長くなってしまいましたが、
今年初のリメイク回答に移りたいと思います。
【Sさまからのご質問】
我が家の犬は11才のオスです。
腎臓があまり良くないようで、点滴に週2回通院し腎サポートを食べさせていますが、
手作り食で腎臓に優しい食事は有りませんか?
【Mさまからのご質問】
うちの犬は11才のスプリンガースパニエルで、腎臓が弱ってきていると言われています。
わかったのは約3年前です。
ヒトの沼地熱
それでそんな犬向けの手作り食を何種類か教えていただきたいのです。
本などにも載っていますが、たいてい1、2つのメニューです。
何種類か教えていただければ、毎日それらを順番に与え、手作り食に切り替える
決心ができそうです。現在は腎臓サポートフード(ドライ)にトッピングをしています。
トッピングはイワシ、さば、薩摩芋、小豆、かぼちゃ、人参、大根、納豆、豚肉などです。
現在の症状をお話しますと、血液検査ではまだ悪い数値はなく尿検査で比重が低く、
1.015ー1.020あたりを前後しています。
症状的には、午前中は寝ている事が多く、朝のお散歩をあまり行きたがらない事と
(夕方は30分から1時間行きます)走る事が減ったくらいで、若い時よりも疲れやすく
なったなあと思う事です。
近所に手作り食をアドバイスしてくれる獣医さんがおらず、腎臓の事もあるので
素人の知識では不安で、手作りに切り替えられずにいます。
どうかお力を貸して下さい。お願いします。
【Answer】
どちらのご質問も、「腎臓に良い食事を教えてください」という内容ですね。
ただ、一言で腎臓に良い食材/レシピと言っても、
腎臓がどの程度機能しているのか?
腎臓がどれくらい弱っているのか?
などの状況がわからない状況では十分なアドバイスはできません。
つまり、お二人のご質問は、内容が同じに見えても、抱えている症状の程度により
お伝えさせて頂く食事内容が異なってくる可能性がありますし、
そもそもその状況をきちんと把握出来ない状況で具体的なアドバイスは行えません。
ですので、食事内容云々をお伝えする前に、まずは
【腎臓】という臓器がどのような働きをする場所であり、
【腎臓が弱る(機能が低下する)】というのはどのような状態なのか?
をブログを通してお伝えしたいと思います。
ということで
まず【腎臓とは】という部分からお話させて頂きます。
腎臓とは、体内の血液を濾過・精製して尿を製造する場所であり、そして、
尿を通して体内の老廃物・毒物を排泄するための臓器でもあります。
腎臓というのは、ごくごく単純化してお伝えすると、「ざる」状の臓器です。
単純に「ざる」といっても、腎臓のざるは非常に優秀で高精度なので、
循環している血液中から体にとって必要な物質と必要でない物質を正確に選びとり、
必要な物質は再吸収し、余分な老廃物や過剰なミネラルは尿と一緒に排泄しています。
その腎臓のざるの目が何らかの原因でつまってしまうと、
体の中から充分に老廃物を出す事ができなくなってしまうため、
老廃物や毒物などが血液中に蓄積していくことになります。
腎臓が良くない状態、というのは体の中に老廃物がたまりやすい状態と言うと
わかりやすいかもしれません。
※よく腎臓の機能評価に使われる尿素窒素(BUN)やクレアチニン(Crea)は
老廃物の一種であり、腎臓の機能が低下し排泄が十分に行われない場合には、
それらの血液濃度が増加します。
そのため、腎臓の排泄機能がどれくらい機能しているのかの簡易的な目安となり、
尚かつ検査が簡便であることから、腎機能のスクリーニング検査として
頻繁に利用されています。
(ただ、腎臓に異常がなくても尿素窒素やクレアチニンが上昇する場合もあり、
これらが高いことがイコール腎機能不全ということでもありません)
身体の中に老廃物がどんどんたまっていく…
決して良い状態でないことはご理解頂けると思います。
腎臓の機能が低下している時に一番重要なことは
「いかに体内に蓄積する老廃物を減らしていくか」ということになります。
食事の考え方も同じで、
●体内にたまった老廃物の排泄を促す食事
●体内に老廃物を作りにくい食事
を意識することが大切です。
また、腎臓という臓器は、肝臓と違い、再生しない臓器です。
どういうことかといいますと、
腎細胞の数は一生のうちに減ることこそあれ増えることがないので、
腎臓の働きができる細胞は日々減少していく、ということです。
つまり「腎臓に良い食事」というのは
「腎臓の破壊をなるべく少なくする食事」/「腎臓機能低下に伴う症状を緩和する食事」
を意味し、決して「腎臓を治す食事」ではないことを認識しておく必要はあります。
それでは、上記にお伝えさせていただいたことを踏まえて、皆様に質問です。
「腎機能低下が生じているペットに対して、
食事を含めてどのようにサポートすることができると思いますか?」
・
・
・
本日はあえてこの部分で終わりにしてみたいと思います。
レシピや食材をお伝えする事は簡単です。
でも、腎不全という病気を少しずつでも理解していかなければ、
どれだけの食材やレシピを知っていたとしても不安は取り除く事は出来ません。
私の役割というのは、レシピや食材を伝えるという表面的なことではなく、
病気についての理解を深めていただくことで、
飼い主様ができることを増やすお手伝いをすることことだと考えています。
といっても、私が子のブログでお伝え出来る事はほんとうにわずかで微々たるものですが、
そのわずかな中でもなるべく「腑に落ちる」ようにお伝えしたいなぁと常々思っています。
まあ、そう思いつつも、自分の遅筆と文章力のなさに嘆く毎日です(涙)
ということで、本日のブログはここまでとさせていただきます。
(確約はできませんが)なるべく早くに次回のブログも更新したいと思います!
今日もご覧になっていただきありがとうございました。
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